Q&A(共通)

 

衝撃度とは?
衝撃度とは車両が防護柵直角方向に打ち込む衝突エネルギーを示しています。
衝撃度は下式に示すように車両質量、衝突速度、衝突角度により決まり、また防護柵の種別により衝撃度は規定されています。

種別 車両質量
(t)
衝突速度
(km/h)
衝突角度
(度)
衝撃度
(kJ)
路側用 分離帯用 歩車道境界用
C Cm Cp 25 26以上 15 45以上
B Bm Bp 30以上 60以上
A Am Ap 45以上 130以上
SC SCm SCp 50以上 160以上
SB SBm SBp 65以上 280以上
SA SAm 80以上 420以上
SS SSm 100以上 650以上


ここで
m :車両質量 (t)
V :衝突速度 (km/h)
θ :衝突角度 (度)

最大進入行程とは?
車両が防護柵に衝突した時の車輪内側が防護柵前面から路外方向に移動した最大距離を示し、防護柵の設置場所、支柱の埋め込み区分により規定されています。
車両の受ける加速度150m/s2/10ms未満とは?
乗員の安全性を評価するもので、従来はGで表現していたものをSI単位[m/s2]に切り替え、0.010秒(10ms)間隔で平均した値であり、その最大値は防護柵の種別、支柱の埋め込み区分により規定されています。
「150m/s2/10ms未満」は、たわみ性防護柵、種別A種、土中用の場合の規定値です。
背面土質量とは?
支柱支持力は、車両衝突による荷重に対して支柱背面の土壌が反力として抵抗するため、その背面土質量と密接な関係にあることが既往の実験から確認されています。これにより下図に示す背面土質量を算出して支柱支持力の評価をします。必要な支柱1本当たりの背面土質量は防護柵の種別、設置場所、支柱部材等により規定されています。

1)背面土質量(t)=背面土量(m3)×土の単位体積質量(t/m3)
2)分離帯や歩車道境界用の背面土量の算出は本図において支柱背面が平坦なものとして行う。
背面土質量が不足する場合の対策方法は?
車両用防護柵標準仕様・同解説において、不足する場合の対応方法として以下の3点が示されています。

  • コンクリート根巻きする方法
  • 連続基礎にする方法
  • 支柱間隔を短縮する方法

 

防護柵の高さの考え方は?
「防護柵の設置基準・同解説」(平成28年12月)の解説にあるとおり、一般的には車道端部に接近して防護柵を設置することから、縁石やアスカーブ、歩道のマウンドアップ等の有無に関わらず防護柵の高さの基点は、車道部の路面が基点になります。
また、”防護柵を車道端部から相当程度以上離して設置する場合で、車輪が縁石等に乗り上げて防護柵に衝突する場合には、その分路面を高く設定してよい。”との記述もあります。
そこで鋼製防護柵協会では、国土交通省国土技術政策総合研究所と協議し、上記の相当程度以上の目安となる値と防護柵の高さの取り方を下図のようにまとめました。
施工時の防護柵高さの許容範囲は?
設計図書および仕様書に示される高さの+30mm~-20mmの範囲内が確保されるよう設置して下さい。
(「防護柵の設置基準・同解説 平成28年12月 公益社団法人日本道路協会」P.46)
めっきの表面が白くなっているが?
亜鉛めっき表面に付着している白色の粉(塩基性炭酸亜鉛化合物など)のことを一般的に白さびといっています。これは、鋼材の表面が酸化して腐食するいわゆる鉄のさびとは異なるもので、白さびによる亜鉛の減量はわずかであり、防錆、防食上問題となるものではありません。白さびは、雨水や結露で濡れた状態の時に発生しますが、乾燥状態では白さびは発生しません。白さびが発生しても、乾燥状況下では酸化皮膜が形成され、いずれ白さびは目立たなくなります。
「防護柵の設置基準・同解説 平成28年12月 公益社団法人日本道路協会」の31頁にも”亜鉛めっきの表面は、製造直後の亜鉛の結晶がみられ光沢があるが、その後、酸化亜鉛(白色の微粉末)の析出があり、次第に二次の酸化亜鉛(黒ずんだ光沢)の薄い層に覆われる。いずれも防錆・防食性能には悪影響はない。”と記載されています。
白さびの防止対策としては、雨水等で濡れないように通風のよい屋内に保管して下さい。もし、濡れた場合はこまめに濡れた面をふき取ることで白さびを発生し難くすることができます。
構造物に支柱を設置する場合のシール(アスファルト、モルタル)の目的は?
構造物上に支柱を設置する場合は補強筋を配し、支柱の周囲を砂で固く詰め、その上下をアスファルトまたはモルタルでシールします。
下部シールは支柱の周囲を砂で締め固める時に、砂が支柱底部より支柱内に回り込まないようにするためであり、上部シールは雨水等が入らないように防水のために行います。
構造物に支柱を設置する場合の鋼製底付管の板厚規定はありますか?
この構造は実験により確認されたものであり、この時の鋼製底付管は補修等で支柱を取り替える時に、支柱周囲のモルタルのみを補修することができるようにしたもので、特に板厚等の規定はありません。
構造物に支柱を設置する場合のコアの大きさは?
支柱の設置、取り替える時の作業性や過度の変形量を抑制するために支柱径より60mm程度大きくすることが規定されています。
(「防護柵の設置基準・同解説 平成28年12月 公益社団法人日本道路協会」P.48)
構造物に支柱を設置する場合の補強筋サイズは?
「防護柵の設置基準・同解説 平成28年12月 公益社団法人日本道路協会」の118頁に、”補強筋はD13以上とし、支柱の後部、前部に少なくとも1本は配置するものとする。”と記載されています。

補強筋の形状(埋め込み深さ400mmの場合)
φ125×125×6 φ139.8×4.5 φ114.3×4.5
b 1 1 1
c D22 D13 D13
d 1 1 1
e D13 D13 D13
f φ200 φ200 φ180
g

補強筋の形状(埋め込み深さ250mmの場合)
φ125×125×6 φ139.8×4.5 φ114.3×4.5
b 2 2 2
c D25 D22 D16
d 1 1 1
e D25 D22 D16
f φ220 φ220 φ220
g

防護柵の設置長さはどのように考えるのか?
「防護柵の長さは、設置該当区間の前後に原則として各々20m程度延長して設置することが規定されています。
(「防護柵の設置基準・同解説 28年12月 公益社団法人日本道路協会」P.51)
ボックスカルバート上に支柱を設置する場合は?
日本高速道路公団(現NEXCO)では「設計要領第五集防護柵設置要領(平成15年8月 日本道路公団)37頁の4-4-7函渠区間のガードレール・ガードケーブル用支柱の基礎」を標準構造としているが、現場の状況によっては適用が困難な場合もあり、特殊なケースとしてGFP構造を採用される場合もあります。

耐雪型の積雪ランクとは?
積雪ランクとは過去5年間の最大積雪深をもとにランク分けしたもので、「防護柵の設置基準・同解説 平成28年12月 公益社団法人日本道路協会」の136頁に以下のように記載されています。

<積雪ランク> <5年再現最大積雪深>
1 1m以下
2 1mを越え2m以下
3 2mを越え3m以下
4 3mを越え4m以下
5 4mを越え5m以下

 

耐雪型で積雪ランク5を超える場合の対応は?
積雪ランクが5を超える場所については、冬季のビーム取外しの検討または別途構造などについて検討して下さい。
(「防護柵の設置基準・同解説 平成28年12月 公益社団法人日本道路協会」P.136~144)
防護柵を橋梁に設置する場合の端部設置方法は?
連続性土工部と縁切りする場合は、端部の強度を確保するため支柱間隔を1/2以下にして下さい。
縦断勾配での支柱施工時の留意点は?
縦断勾配では、原則として鉛直設置して下さい。ただし、2山ビームは、縦断勾配20%まで鉛置設置が可能です。分離帯用、ガードケーブル端末、3山ビームSS,SA,SB種は構造上、原則鉛直設置は不可ですので路面に対して直角設置となります。