設置基準 性能 評価
防護柵基準の変遷
- 昭和40年4月 ガードフェンス設置要綱(我が国初の設置基準)
- 昭和42年12月 防護柵設置要綱(分離帯、S種追加)
- 昭和47年10月 防護柵設置要綱(構造諸元を統一)
- 昭和61年7月 防護柵設置要綱・資料集(橋梁用・耐雪用を追加)
- 平成10年11月 防護柵の設置基準(S種を4区分、性能規定に変更)
- 平成16年3月 防護柵の設置基準(景観に配慮した防護柵)
- 平成20年1月 防護柵の設置基準・同解説(金属片の点検、車両用防護柵の設置検討を解説に追加)
- 平成28年12月 防護柵の設置基準・同解説(生活道路用柵について解説に追加)
車両用防護柵標準仕様について
平成10年11月の防護柵設置基準改定により、それまでの仕様規定から性能規定の基準に変わりました。
この基準に対応して、これまでに開発された車両用防護柵で実車衝突試験などにより性能を満足すると確認されているものは、車両用防護柵標準仕様として平成11年3月にまとめられました。
- 平成11年3月 車両用防護柵標準仕様・同解説(性能規定に改訂後に発刊)
- 平成16年3月 車両用防護柵標準仕様・同解説(連続基礎など一部変更)
現在の設置基準
(防護柵の設置基準・同解説:H28.12、社団法人 日本道路協会)
1.防護柵の定義
防護柵とは、主として進行方向を誤った車両が路外、対向車線または歩道等に逸脱するのを防ぐとともに、車両乗員の傷害および車両の破損を最小限にとどめて、車両を正常な進行方向に復元させることを目的とし、また、歩行者および自転車の転落もしくはみだりな横断を抑制するなどの目的をそなえた施設をいう。
防護柵は、車両を対象とする車両用防護柵と歩行者を対象とする歩行者自転車用柵に区分する。
2.車両用防護柵の設置区間
以下のいずれかに該当する区間または箇所は、道路および交通の状況に応じて原則として、車両用防護柵を設置する。
(1) 乗員の人的被害の防止を目的とした区間
- 盛土、崖、擁壁、橋梁、高架等の路外の危険度が高い区間
- 海、湖、川、沼地、水路などに近接する区間
- 橋梁、高架、トンネルなどへの進入部
(2) 二次災害の防止を目的とした区間
- 鉄道、他の道路などに立体交差または近接区間
- 走行速度の高く縦断勾配又は線形が厳しく対向車への逸脱防止区間
- 走行速度が高く沿道人家や歩行者への車両飛び込み防止必要区間
(3) その他の理由で必要な区間
- 事故多発区間で設置により効果が認められる区間
- 幅員、線形等道路および交通の状況に応じて必要と認められる区間
- 気象条件により特に必要と認められる区間
3.車両用防護柵の種別
車両用防護柵は、強度(車両が衝突したときに突破されない衝撃度の大きさ)および設置場所に応じて種別を設定する。
種別 | 車両質量 (t) |
衝突速度 (km/h) |
衝突角度 (度) |
衝撃度 (kJ) |
||
路側用 | 分離帯用 | 歩車道境界用 | ||||
C | Cm | Cp | 25 | 26以上 | 15 | 45以上 |
B | Bm | Bp | 30以上 | 60以上 | ||
A | Am | Ap | 45以上 | 130以上 | ||
SC | SCm | SCp | 50以上 | 160以上 | ||
SB | SBm | SBp | 65以上 | 280以上 | ||
SA | SAm | 80以上 | 420以上 | |||
SS | SSm | 100以上 | 650以上 |
衝撃度とは防護柵直角方向に持ち込むエネルギーの大きさ
m:衝突車両の質量(t)
V:衝突速度(km/h)
θ:衝突角度(deg)
4.性能
車両用防護柵は、種別に応じて以下に示す性能を有するものでなければならない。
(1)衝突条件
区分 | 衝突条件 | ||
車両質量 | 衝突速度 | 衝突角度 | |
衝突条件A | 車両総重量時において路面から重心までの高さが1.4mの大型貨物車による 種別が応じた衝撃による衝突。その際の衝突角度は15度とする。 |
||
衝突条件B | 1t | C,B:60km/h A~SS:100km/h |
20度 |
(2)性能評価
・強度性能
衝突条件Aに対して、突破されない強度を有すること。
・変形
衝突条件Aに対して、下表の条件を満足すること。
種別 | *)最大進入行程 | |||
土中 | コンクリート中 | |||
たわみ性防護柵 | 路側用 | 1.1m以下 | 0.3m以下 | |
分離帯用 | Cm,Bm | 1.1m以下 | 0.3m以下 | |
Am~SSm | 1.5m以下 | 0.5m以下 | ||
歩車道境界用 | 0.5m以下 | 0.3m以下 |
*)最大進入行程は、Q&A(共通)を参照下さい
・乗員の安全性
衝突条件B対して、車両の受ける加速度が種別および種類に応じ下表の条件を満足すること。
(m/s2/10ms)
種別 | たわみ性防護柵 | 剛性防護柵 | |
土中 | コンクリート中 | ||
C、B | 90未満 | 120未満 | 120未満 |
A | 150未満 | 180未満 | 180未満 |
SC~SS | 180未満 | 200未満 | 200未満 |
・車両誘導性
衝突条件AとBに対して、以下の条件を満足すること。
横転しないこと
離脱速度は、衝突速度の6割以上であること
離脱角度は、衝突角度の6割以下であること
・構成部材の飛散防止
衝突条件AとBに対して、構成部材が大きく飛散しないこと。
5.種別の適用
車両用防護柵は、道路の区分、設計速度および設置する区間に応じて、原則として下表に示す種別を適用する。
道路の区分 | 設計速度 (km/h) |
一般区間 | 重大な被害が発生するおそれのある区間 | 新幹線などと交差または近接する区間 |
高速自動車国道 自動車専用道路 |
80以上 | A,Am | SB,SBm | SS |
60以下 | SC,SCm | SA | ||
その他道路 | 60以上 | B,Bm,Bp | A,Am,Ap | SB,SBm |
50以下 | C,Cm,Cp | B,Bm,Bp |